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 ぶらり歩き  
 1.境川を歩く (1)                           平成14年8月4日 
 市主催の「大山道を歩く」に参加して、地域の歴史、文化、伝統、生活、信仰などを学ぶフィールドワークという手法があることを知り、初めて一人で野外に出て歩き始めたのが、平成14年8月のことでしたので、早や6年近い時間が経過しています。その道として相模原市と町田市の境界を流れる境川の川筋を選んだわけですが、当時まとめたレポートには、その心境を次のように謳っています。

 年齢というものは自分では意識できないものであるが、50歳を越えて老いの年代に足を踏み入れてしまったことがトリガーとなったのであろうか、自分の生き方、人生を遅ればせながら改めて考えることが多くなった。改めてというのは、会社に勤めるようになってからは、いわゆる仕事に追われて人生を顧みることはほとんどなかったが、学生時代には自分の人生はどうあるべきかを真剣に考えて寝つきの悪い夜がたびたびあったからである。

 
平成14年2月に博物館主催の「大山道を歩く」に参加したのも、仕事を離れたあとの人生をどう作っていくかを考えるきっかけを捕まえたいとの思いがその原動力であった。そして、大山道を歩くことにより、徒歩という人間にとってもっとも根源的で確実な手段で、しかも人間の五感にとって自然な速度で町中をめぐり、周りを見回すことによって、今まで認識することがなかったものが自然に目に飛び込んでくることは新鮮な感動であった。知的好奇心は少なからず持ち合わせているつもりであり、本を読むことはとても好きであるが、自分の足で歩き、自分の目でそのものを確認してその存在意義、歴史、生活、心情、自然等々を知り、感じることは本という静的な情報では味わえない、深みと豊かさを人生に付加してくれることを痛感した。

 
夏休みに入り、いえを離れて大学に通う息子はアパートで何をしているのか、一向に帰宅する気配はなく、娘は来春の大学受験に備えて勉強と塾通いに余念が無く、小生としてはこれからの自分の人生をどのように生きていくか具体的なアクションに移る時となった次第である。そこで、地理的に自宅に近く安心して歩ける、しかも前から興味があった境川沿いを探索することにした。当初、源流からスタートしようと2万5千分の1の地形図を購入したり、関連の本を図書館から借りてはきたが、どうも源流位置を確認するにはもう少し調べてからにした方がよさそうと考え、インターネットで紹介されていた橋本駅〜江ノ島までを歩くことにした。

 ここでは、当時まとめたレポートをもとに、橋本から江ノ島までの境川沿いを紹介します。境川の源流については、平成19年8月にやっとのことで訪ねて町田市 境川源流探索にまとめています。4日(平成14年8月4日)の天気は曇りで気温もそれほどは上がらないという天気予報を信じて、逆に雨が心配されるような曇天の中を6時に玄関を出る。いつもの出勤のリズムと変らない朝の出立である。
 橋本駅は「大山道を歩く」のスタート点であり、その記憶を頼りにデジカメに収め損ねた橋本駅誘致の記念石碑の場所を探す。半年前の記憶であったが、たいしたもので簡単にその場所に出る。2月のときには学芸員からこの石碑が建立された背景の説明を受けたので、なるほどと石碑の意味を理解できたが、今日のようにひとりでこの石碑を見たとしたら、ただ相澤さんという地元の偉い人が橋本駅を誘致をしたことを知るのみであり、何ら感慨も湧かなかったと思う。その意味では大山道を歩くでは貴重な体験をさせてもらい、ものをみる目を養うことができたといえる。引き続き、完全に甦った記憶に従い、旧橋本宿にある香福寺に向かい、門前にある行者徳本の名号塔をゆっくりと見学した。これもデジカメに収め、瑞光寺、大山参りの人々が身を清めた境川の精進場、地元の名家相澤家を写真に撮り、いよいよ境川探索を開始した。 

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